基本的なお世話
毎日 食事(1日1回)、飲み水の交換、トイレとケージの掃除、砂浴び
1年ごとに動物病院での健康診断をしてあげましょう。
温度・湿度管理ができる環境が必須になります。
チンチラが快適に過ごせる気温は15℃~22℃、湿度は40%未満で、温度・湿度管理はとっても重要です。
夏は25℃以上、冬は15℃以下にならないようエアコンなどで調節をしてあげてください。
砂浴びができる環境を
チンチラにとって砂浴びは消臭や皮膚病などの予防にかかせないもの。そのため、ケージには1日に30~1時間ほど砂浴びができるように専用の容器と砂を入れてあげます。
食べ物
●ペレット(総合栄養食/主食)
歯の伸びすぎなどの予防にもなるよう硬くて栄養的に優れているものがベスト。牧草と併用。与える回数は1日1回。
●牧草(チモシーなど/主食)
歯の伸びすぎなどの予防に役立つ。ペレットと併用。いくら食べても問題ないので常に与えてOK。
●野菜、果物、穀物など(おやつ)
種類によっては中毒を引き起こすものや病気の原因になるものもあるので、与える種類・量には注意してください。
特徴
丸い体に小さな手足、滑らかな毛皮が特徴的なチンチラは社会性が高い動物です。野生のチンチラは一夫多妻の家族から成る小規模な群れを作り集団で行動することにより天敵から身を守っています。
また、チンチラは過酷な地域(山地の岩場〈 標高3000-5,000メートル〉)に生息しているため、他の動物よりも優れた運動能力を持っています。時には垂直方向に1m以上跳躍することができるほどです。
チンチラはオスよりもメスの方が身体が大きく成長する傾向にあります(最大35cm)。
性格
チンチラの性格
臆病
警戒心が強い
チンチラは“小型哺乳類としては知能が断トツに高い”動物です。時間をかけて躾けることでお手やお座りといった犬が覚えるような芸を覚えさせることも出来ます。
しかし、チンチラの知能が高い故に臆病で警戒心が強い個体が多い傾向にあるため、懐くチンチラに育てるためには時間をかけて少しずつ信頼関係を築いていかなくてはいけません。
チンチラの寿命
10-15年
チンチラの平均寿命は犬や猫と同等の約13年と小型哺乳類としてはトップクラスの寿命を持っています。適切な環境(運動量・食事バランス)で飼育することで15年以上生きた個体も確認されています。
また、野生のチンチラは有害な寄生虫に侵されて体調を崩してしまったり、天敵となる猛禽類に襲われてしまうことが多いため、寿命は約5-6年と飼育されているチンチラよりもかなり短くなります。
飼育に必要な飼育用品
チンチラの飼育に必要な飼育用品
ケージ
床材
回し車
巣箱
齧り木
冷暖房器具
エサ入れ・給水ボトル
砂・砂浴び用ケース
キャリーケージ
おもちゃ
チンチラの飼育に必須な飼育用品は「ケージ・床材・巣箱・食器セット・砂浴びセット・冷暖房器具」だけです。その他の飼育用品に関しては必要に応じて用意するという認識で問題ありません。
しかし、回し車が無いと運動不足になりやすくなりますし齧り木が無いと歯が伸びやすくなります。全ての飼育用品には必要となる理由があるため、余程の理由が無い限りは全て揃えておきましょう。
室温・湿度管理
チンチラに適切な室温・湿度
室温:17~23℃前後
湿度:40~50%以下
チンチラは体温調節が苦手なため、冷暖房設備を使って室温を約20℃前後に保つ必要があります。
特に気温が上がりやすい夏場は「食欲不振」や「熱中症」等の体調不良を引き起こしやすいですし、逆に冬場は極端に気温が下がるため、チンチラが疑似冬眠を始めてしまう可能性が高くなります。
チンチラは分厚い毛皮を持っているということから“暑さには弱いが寒さには強い”というイメージを持っている方も多いと思いますが、寒さに対して耐性があるのは野生のチンチラに限った話です。
疑似冬眠
チンチラは部屋の気温が一桁台から氷点下近くに落ち込むと疑似冬眠状態に入ってしまいます。
冬眠という言葉を聞くと「安全に冬を越すために行う」とイメージする方も多いと思いますが、冬眠状態に入ってしまうとそのまま凍死してしまう可能性が高いため、絶対に冬眠させてはいけません。
エサ
チンチラの主食には「牧草(チモシー)」を8~9割「チンチラ専用フード(ペレット)」を1~2割の割合で与えてください。
おやつを与える場合
何かをオヤツを与えたい場合は「ラクトバイト」もしくは「ドライフルーツ」をオススメします。ラクトバイトは乳酸菌や必須脂肪酸・ビタミン類等の栄養素が豊富に含まれている栄養補助食品です。
上記のようなおやつは大半のチンチラが好む大好物ですが、美味しいおやつばかりを与えていると主食よりもおやつを求めるようになるため、おやつは数日から週に1回与える程度に留めてください。
運動
大きな小屋でチンチラを飼育している場合は特別に部屋で運動させる必要はありませんが、一般的な小さなケージで飼育している場合は運動不足を防止するために定期的に部屋で運動(部屋んぽ)させましょう。
運動させる時間は“1日30分以上”が理想です。毎日運動させることが難しい場合は飼い主さんの都合に合わせて運動させる形でも構いませんが、最低でも2~3日に1回は外で運動させてあげてください。
部屋んぽの注意点
チンチラが起こす問題行動
部屋中の物を噛む
部屋中で排泄をする
チンチラは「ウサギ」や「ハムスター」と同じ齧歯類の動物であるため、部屋中の物に噛みついて傷をつけてしまいますし、特定の場所でトイレをする習性もないので部屋の至る所でフンをします。
そのため、チンチラを部屋に放す時は絶対に目を離さないようにしてください。チンチラから目を離すと部屋中の物を傷つけてしまうだけでなく、チンチラに問題が起きる可能性が高くなり危険です。
危険な物は片づける
チンチラから目を離すとプラスチック等の人工物を誤飲してしまったり、金属等の硬い物を噛んで歯が欠けてしまったりと様々な問題が起きる可能性があります。中でも電源コードは特に危険です。
実際にチンチラが電源コードを噛んで大怪我をしてしまったという事例もあります。このような危険なことを未然に防ぐには目を離さないことは勿論、保護カバーを装着する等の対策を行いましょう。
砂浴び
チンチラは砂を浴びて被毛をお手入れする習性があるため、定期的な砂浴びが必要になります。
砂浴びの目的は“体に付着した汚れを落とす“だけではありません。チンチラは砂で遊ぶことでストレスを発散し精神的にリラックスします。故に砂浴びは健康を保つ上で必要不可欠な行為になります。
また、チンチラは砂浴び中に糞や尿をすることもあるため、砂浴びに使用する砂は定期的に交換する必要があります。砂の交換頻度は毎日が理想ですが、週に1回の頻度で交換していれば十分です。
病気を未然に防ぐ
チンチラは人間によって管理された環境の中でしか生きていけない弱い動物です。日本の環境の中でなら人間に頼らず野良(1匹)でも生きていけるような犬や猫のような強い動物とは根本的に違います。
室温・湿度管理は勿論、消化不良等の消化器疾患を防ぐために適切な食事を与えなくてはいけませんし、歯が伸びすぎると発症する病気を予防するために定期的に歯の状態を確認する必要があります。
熱中症(ねっちゅうしょう)
熱中症の原因
室温や湿度が不適切
熱中症とは、急激に体温が上昇したことにより脱水症状を引き起こしている状態のことをいいます。
症状が比較的軽度な場合は「食欲不振」や「体調不良」等で済みますが、適切な処置をせずに症状がが進行してしまうと「脳卒中(脳損傷)」や「臓器不全」等の死亡する高い症状を引き起こします。
予防法
チンチラが快適に感じる温度は約20℃/湿度40%以下です。室温が25℃以下である場合は高湿度でない限り熱中症のリスクはありませんが、室温が27℃を超えると一気に熱中症の発症率が上がります。
そのため、熱中症を予防するには常にエアコンを稼働させ続けることが大切になります。チンチラにとって理想的な湿度は40%以下であるため、最低でも湿度を50%以下に保つようにしてください。
不正咬合(ふせいこうごう)
不正咬合の主な原因
歯が伸びすぎている
不正咬合とは、チンチラの歯が正常な位置に整列してない状態をいいます。初期症状は「噛み合わせが悪い」や「口内の怪我」等で済みますが、治療せずに放置すると次第に重症化していきます。
痛みの有無は歯の生えている方向によって変わるため一概には言えませんが、どちらの場合も適切な処置をしないと次第に伸びた歯が歯茎や頬の肉を突き破り食事が出来なくなる場合もあります。
予防法
不正咬合を予防するにはチンチラの歯を削る効果のある「牧草(チモシー)」や「齧り木」を与えることも大切ですが、定期的にチンチラの歯の状態を確認してあげることが何よりも大切になります。
チンチラの歯をチェックしたりカットするのは怖いという飼い主さんの場合はチンチラの診察に対応している動物病院に定期検診に連れていくことで不正咬合の発症を完全に予防することができます。
チンチラの歯は1年間で平均2~3インチ(約5~7.5cm)の速さで生涯成長し続けます。
消化器疾患(しょうかきしっかん)
消化器疾患の主な原因
ストレス
不適切な食事
病気の合併症
消化器疾患とは、消化器系(胃腸)に異常が起きている状態のことをいいます。初期症状は「下痢・嘔吐」や「食欲不振」等で済みますが、重症化すると腹部にガスが溜まり痛みを伴うようになります。
予防法
チンチラは特に消化器系(胃腸)が弱い傾向にあるため、消化器の負担になりやすい炭水化物や水分が多分に含まれている野菜は出来る限り与えないでください(おやつ程度なら問題ありません)。
適切な食事を与えていれば消化器疾患は滅多に起こりませんが、消化器疾患は体調を崩していたり他の病気を患っている際に発症しやすい病気であるため、食事の管理だけでは完全には防げません。
いつもと同じ適切な食事を与えているのにも関わらずチンチラが消化不良を起こした場合は何かしらの病気を患っている可能性が高いです。病院での診察をオススメします。
脱毛症
主な原因、ストレス
感染症(真菌症)
脱毛症とは、身体の一部分または全身の被毛が異常に抜けて落ちている状態のことをいいます。主な症状は被毛が抜け落ちるだけですが、同時に真菌症を発症している場合は皮膚が爛れていきます。
予防法について
脱毛症は主に「ストレス」や「動物同士の喧嘩」等で被毛に強い力が加わったことで発症するため、脱毛症を予防するにはチンチラにストレスを感じさせない環境を用意しましょう(砂浴びは必須)。
また、脱毛症を発症する原因になる「真菌症」という感染症はカビが原因となります。カビは湿度が高いと発生・繁殖しやすくなるため、室温管理と同様に湿度管理もキチンと行う必要があります。
普段からのスキンシップでケアやチェックが大切
比較的丈夫と言われるチンチラも、飼育環境や食事をきちんと管理していないと病気になってしまいます。ストレスの少ない環境を整え、普段から体調をチェックしてあげるのが肝心です。もし様子がおかしいと感じたら、すぐに動物病院に連れて行ってあげましょう。